[47]
ノースウェスト航空85便は、デトロイトから東京へ飛行している
[59]
この便に使用された機種はボーイング社製747-400型機
[68]
それは最初に生産されたボーイング747-400型機であり、1989年にノースウェスト航空に納入された
[77]
85便はアラスカを出て、ベーリング海を飛行している
[92]
彼らは、機長のジョン・Hと副操縦士のデイビッド・Sが休憩に入るため、操縦を交代したばかりだった
[127]
交代機長は自動操縦を解除し、機体を水平にしようとする
[133]
機長が操縦室に戻ってきて、交代副操縦士と一緒に機体を水平に保とうとする
[139]
機長は機体が傾くのは方向舵が振り切れているせいだと疑った
[150]
その大きさのため、ボーイング747型機の方向舵は上部と下部の二つに分割され、同時に動くようになっている
[167]
副操縦士は運用説明書の解決策を確認するが、何も見つけられない
[175]
機長は6時間以上かかる東京より、2時間ほどで戻れるアンカレッジに目的地外着陸することを決めた
[202]
この時点で交代副操縦士は緊急事態を宣言しているが、アンカレッジから離れすぎていた
[209]
いま飛行機は、北アメリカとアジアの間の「通信不能地帯」を飛んでいる
[215]
機長は自分たちとアラスカの間を飛行している別のノースウェスト機と通信を試みた
[222]
ノースウェスト19便が、85便の緊急事態を航空交通管制に中継した
[230]
操縦士たちは、方向舵がどれほど重大な損傷を被っているかについて全く知らない
[241]
ボーイング747型機にこのような問題がなかったので、このような状況下での訓練はされていなかった
[249]
機長はミネアポリスのノースウェスト航空を呼び出したが、彼らも突然の傾きへの解決策を見つけることはできなかった
[260]
交代機長は客室に行き、客室乗務員に緊急着陸の準備をするように告げる
[269]
彼らは空気の密度が高く、より多くの揚力を得られる低い高度に降りることを決めた
[291]
彼らはいま、28,000フィートで飛行している
[301]
747を飛ばすのに必要な力が機長に負担をかける
[322]
飛行機はアラスカに近づき、航空交通管制の通信可能範囲に入った
[330]
交代副操縦士:アンカレッジ、こちらノースウェスト85。緊急事態を宣言したことを認識しているか確認してください
[344]
アンカレッジまで30分以上あるが、機体がどのような反応をするか見るために、着陸準備をすることにした
[354]
機長は14,000フィートに降下したかったが、それはこの空域で最も混みあう高度の一つであったため、航空交通管制はその要求を拒否した
[365]
もし飛行機の制御を失うと、ほかの航空機と衝突する可能性がある
[374]
機長から航空交通管制:こちらは緊急事態です。これが最も安全な行動です
[382]
航空交通管制は最終的に14,000フィートに降下する許可を与えた
[397]
747はゆっくりと14,000フィートに降下する
[458]
しかし、飛行速度が遅くなると方向舵がより多くの偏揺れを生成する
[464]
それは飛行機を飛ばすことがさらに困難になることを意味する
[474]
副操縦士は機体をより操縦しやすくするためにエンジン推力を調整している
[479]
彼は第1と第2エンジンの推力を増加させ、第3と第4エンジンの推力を減少させた
[507]
破損した方向舵は前輪と連動しているので着陸したとき、機体の制御を失う可能性がある
[518]
航空交通管制:ノースウェスト85、着陸を許可する
[526]
この時点で、乗客が不時着陸時の安全姿勢をとる
[571]
一つ間違うと、機体が滑走路から飛び出してしまうかもしれない
[595]
国家運輸安全委員会とボーイング社は調査を開始した
[601]
国家運輸安全委員会は、動力制御部品に疲労亀裂があり、この種類の故障を事実上検査することは不可能であることを発見した
[618]
下部方向舵の動力制御部品の鋳造筐体が壊れていた
[629]
事故機は2009年、ノースウェストとデルタ航空の合併に伴い、ほかの747-400型機とともに、デルタ航空の機材となった
[642]
そして2015年、ハワイ発、アトランタ行きをもって営業運航を終了し、退役した
[656]
2004年、定期航空操縦士協会はノースウェスト航空85便の乗員に「優秀操縦技術賞」を授与した